VE Model-101
スクランブラー
ある周波数を境にして高い周波数と低い周波数を入れ替えてしまうエフェクタ-。その周波数をツマミで調整する。
※仕様及び外観は、改良のため予告無く変更する場合がございますが、ご了承ください。
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【T.MIKAWA氏からコメントをいただきました】
Vanilla Recordsの手島さんには、色々とお世話になっている。今はなき仙川ゴスペルでのライヴを収録したIncapacitantsのカセット「Extreme Gospel Nights」やファーストビデオとなった「Extreme Gospel Nights2」をリリースしていただいた。Vanilla Recordsでの多数の作品のリリースに加えて、自らもYellow Cabを率いての活動を行うなど、多彩な動きをしてきた彼のもう一つの重要な側面が、所謂エフェクタの製作販売である。
その記念すべきエフェクタ発売第一号が、ここで紹介するスクランブラー(VE Model 101)だ。最早10年以上の歴史を誇るこのエフェクタは、他ではあまり例を見ない独特のもので、或る周波数を境にして、その上下の周波数を入れ替えてしまうというのだ。その「或る周波数」というのは、つまみで設定できる。と書いても、今一つ、その効果がどのようなものなのかピンと来ないだろうが(私も使ってみるまではそうだった)、実際使ってみれば、そのユニークさは際立っていると感じられた。私の筆力のなさで、それが実感できるように表現することが出来ないのがもどかしいところだが、とにかく機会があれば、使ってみて欲しい。敢えて言えば、一時のIncapacitantsのように、典型的なWall of Noiseというかあらゆる音が一緒くたになって来襲するようなタイプの演奏よりは、もう少し音に隙間があり、ハイスピードの音の転換を繰り広げるようなノイズにより一層適しているように思える。その意味で、これがMasonnaの山崎君の愛用品だという事実には素直に納得できるのである。
もう一つ紹介したいのが、VE Model 700である。これは、中身はBOSSのメタルゾーンという歪み系のエフェクタで、それをシリーズ統一のケースに入れ、テーブルトップノイズでの使用しやすさを勘案してスイッチをトグルスイッチに換えたもの。そのドンシャリ度は極めて高く、特に、Vanillaで扱っているコンタクトマイクとの相性は抜群だ。ノイズ系のウェブサイトを見ていると、若者が、「僕は○○○(ノイズユニット名)が好きです。自分でもノイズをやりたいと思うのですが、機材のことがさっぱり分かりません。誰かアドバイスをお願いします。」等と能天気なことをのたまわっているのを目にすることがしばしばだが、そんなお兄ちゃんには、この組合せを薦めたい。何も考えずに、この二つをアンプに繋いで、コンタクトマイクでその辺をこすったりたたいたりすれば、それなりにハーシュノイズのように聞こえる音が出せるのだから。但し、それがノイズとして成り立つかどうかは、多分その音を出した人間の覚悟にかかっている。それほど単純なものではないということだけは言っておきたい。逆に言えば、個としてノイズ足りうる者であれば、何も機材を用いなくてもノイズを生み出すことはできる。そして、そのような者にとってみれば、この二つの組合せほど強力なサポートはなかなかないだろうというのも、また、私が実際にライヴで使ってみて感じた正直なところである、ということで私の拙い文章の締め括りとしておこう。
2008年4月
T.MIKAWA
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【コーヘー・ザ・ファスト氏からコメントをいただきました】
地元が近くということもあり、ヴァニラ社長とは高校時代からたびたび喫茶をすることがよくあったが、その時分にこのエフェクターを作ってくれるようにお願いし、出来たで、という連絡が来て、いそいそと待ち合わせ場所まで受け取りに行った時のことをよく覚えている。
自分のエフェクター選びの基準は「見た目」と「音のスピード」という2つである。気に入らなかったら返してくれたらええで、ということだったので早速うちに帰って箱を開けてみた。それは真っ黒の小さな箱にツマミ、上下にパチパチさせるスイッチ、そしてON/OFFのライトがついているだけでVANILLA ELECTORONICSの文字も何も無いシンプルなものだった。しかし見た目はかっこいい!さっそく試しに音を出してみたのだが、今までのセッティングだけでは音の粒子が比較的でかくてスピード感があまりなかったのに、このエフェクターのスイッチを入れた瞬間、粒子が見えない程の細かさで飛び散って、腰のあたりで鳴っていた音が一気に頭の上の上の方にまで上がっていって、すごい速さで通りすぎていってしまったのである。それにON/OFFで一気に音が変わるというのも非常におもしろい。いっぺんに気に入ってしまった自分はそれ以来このエフェクターをライブでもレコーディングでもずっと使っている。その奇妙な出で立ちのせいかよく共演者の方々に、これはなんなの??、と聞かれることがあるが、社長には大変申し訳ないけないけどなんせ見た目と音でしか判断していない為、このエフェクターがどういう働きをするものなのかをまったくもって理解できていないので答に困り、うーん、よーわからへんのですけどヴァニラ・レコーズの社長さん手作りのとにかく音が速なって厳つなるエフェクターです、と苦笑いしながら答えている。もちろんこんな使い方だけしかできないというものではなく、自分がやってみたことでいうと、例えばフィールド・レコーディングした音源や、玩具のボイス・チェンジャー等にこれを通してみると非常に奇妙なものになったりと様々な使い方ができるエフェクターなのである。とにかくすごい。
2003年9月
コーヘー・ザ・ファスト
(GUILTY CONNECTOR / ギルティー・コネクター)








